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2011年6月 6日 (月)

『夢酔独言』 勝小吉 (3)

■有り余るエネルギー

どうかしている。力に裏付けられた度胸のよさ。自身に対する自信のありようは尋常ではない。やりたいこと面白そうなことには飛び込んでいく。一切の遠慮がない。頼られたら助ける。気に食わなければ刀を振る。金が欲しけりゃ借りてくる。小吉には他人がないのだ。自分だけがいる。シンプル。行動だけをみるとそう思える。けれどそうではない、シンプルに見える行動には小吉が思う理想像が関係している。その理想像に従って生きてきたのだ。だから恐れないし他人の評価を気にしない。この自伝を書いている時も反省の弁はでるが理想像としての自分を間違っていた事に対して反省しているように思える。間違った理想に従って行動したことを反省しているのだ。もちろん自分の存在を否定するものではない。子孫に理想を説くことからもそういった小吉の意識は窺える。

物凄いパワーで前進していくさまに惚れ惚れすると同時に恐ろしくもなる。スケールが大きいというのはこういう男の事をいうのだ。なにをしても成し遂げる。そんな感じがする。
しかも小吉は賢い。場数を踏んでいるから生きるうえでの知恵を持っているのだ。頭の回転も早い。こんな生き方に憧れる。けれどすぐ自分には無理だとわかる。小吉の言う「いつでも死ねる覚悟」、つまり「覚悟」がないのだ。なにが小吉をここまで突き動かすのか。やはり理想としての自分なのか。理想と違うくらいならば、という思いからくるのだろうか。

小吉が唯一できなかったことが定職に就くことだった。こればかりは持っていた理想と違っていたためひどく悔いているのがわかる。他人の評価を気にしている様も書かれている。
これほどの男でもできない事はあったのだ。

この本、なかなかに読みづらかった。もともとが江戸時代に書かれたというのもあり、小吉が文字の読み書きを苦手というのもありで理解できない部分があった。考えて読む事を小吉が求めているだけあって私にしっかり読めているかはかなり怪しい。再読した時に読み違いなどに気づくのも楽しみのうちだと思っておくことにします。

★自伝評価
・オススメ :■■■■□
・役立ち   :■■■□□
・面白い   :■■■■□
・感動     :■■■□□

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