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2011年6月11日 (土)

『チャップリン自伝-若き日々』 チャップリン (7)

■才能は孤独のうちに成る

孤独だったんだろうなあ。心休まる場所もなく子供から大人になってしまった。社会と交わって育たないから人との付き合いもうまくない。うぬぼれ、感じが悪い言動、恩義も感じないわけではないが返すこともない。悪意にさらされながら育つと他人を懐疑的にみてしまう。他人の善意を信じることができない。そうなってしまうのもしかたがない。事実チャップリンの育った環境は厳しかった。人間こりゃ歪むよ。

この親にしてこの子ありとはいうけれど遺伝というのは何も遺伝子的なものだけじゃない、その親がひきずっている環境に子供は生まれるのだから当然そういったものも引き継がれる。チャップリンが幼い頃舞台に立ったというのはこの親でなければなかったことだろうし、それが後のチャップリンをつくるきっかけになったのは間違いない。父親にしても母親にしても階級というものを強く意識させられる存在で、100年前のイギリス特有というわけじゃなく現在の世界どこにだってある相変わらずのものだ。チャップリンはたまたま演劇という才能が映画という時代にあたって花開いたわけだけれど、はたして時代の波がずれていたならば当然ここまでの名声は得られなかったのは間違いないはず。努力よりも才能、さらにそれよりも運、そんな風に感じられてしまう。

チャップリンが始めて浮浪者役に扮した時、熱心に説明するその役づくり、これチャップリンの内面そのものなんじゃないでしょうか。新しくつくりだす性格、それはもちろん過去に自分を通過していった出来事、感情や感覚を組み合わせてつくられるわけで、それって私達が普段未来を予想したりする時と同じ心の動きですよね。新しいものの創造と未来の予測が同じ構造でできているというのはなかなかおもしろい発見でした。

このチャップリン自伝、本来の自伝の3分の1にあたる「若き日々」の部分だけになっています。なんだよー全部読みたいよー、と思ってもどうやら残りは絶版状態。世界的な人気に手がかかった所で終わってしまうんですよね。新潮社さんなんとかしてください。英語で読むのはしんどいんです。

★自伝評価
・オススメ :■■■■□
・役立ち   :■■■■□
・面白い   :■■■■□
・感動     :■■■■□

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